浴室の細かいところ ( 排水溝とか ) を歯ブラシで掃除していると、子どもの歯磨きをしているような気持ちになってくる。 最初はやさしく磨いてあげるが、すき間にこびりついた汚れは簡単には落ちず、次第に歯ブラシを握る手に力がこもってくる。痛がって子どもは泣くが、その泣き声と落ちない汚れがよりいっそうわたしを苛立たせ、最初にはあったはずのやさしさや愛情が薄れていき、憎しみさえ込めてガシガシ磨く。 しまいには排水溝を磨いているのか口のまるい奇形の児の歯磨きをしているのかもわからなくなり、ただキンキンと耳障りな泣き声だけが浴室に響く。